粘土を食べる

 
粘土を食べる。

現代日本社会に住む我々からすれば、かなり怪しい健康法のように感じます。
でもこれは、れっきとしたNASAの用いる健康法だそうです。
欧米ではブームになっているとか。

様々な病気は、実はミネラルバランスが悪いことに由来するという記事を、以前書きました。
この粘土には、微量元素を含み、吸収率が良いだけでなく、毒素や寄生虫を排出したり、胃腸を健康にする効果があるとのことです。

ミネラルバランスが良くて、粒子径の非常に小さいものが良いそうです。
古代の火山性土壌に多いのだとか。

自然界にいる動物は、健康維持のために、粘土を食べるそうです。
また、現在でも世界各地で、粘土を食べる習慣が残っているそうです
貧しいのではなく、むしろ高価なものとして粘土を食べる。

農作物の収穫や動物の飼育においても、明らかに有益な効果が認められるそうです。
あるいは、動物園での健康管理等に利用されているとか。

知らないのは、日本人だけかもしれませんね。


常温核融合、生物学的元素転換を調べていたら、ケイミズモリさんのサイトに行き着きました。
(別の話題で、以前も何度か、紹介したことがあります)
文面にはありませんが、おそらく、何らかの生物学的元素転換も絡んでいるのだと私は思います。




身体を浄化する驚異の粘土食
学研「ムー」2011年2月号要約掲載

http://www.keimizumori.com/articles/clayeating.html


○NASAが選んだ粘土
 1960年代、アメリカのNASAはマーキュリー計画、ジェミニ計画、アポロ計画と有人宇宙飛行計画を推進し、1969年7月20日、アポロ11号により人類は初めて月面に降り立った。この成功は、様々な分野の科学者らによる努力の結晶だったが、宇宙飛行士らにとっては命がけの戦いであった。打ち上げの失敗や事故によって直ちにもたらされる死の恐怖だけでなく、成功したとしても、窮屈な空間に長時間留まるストレスに耐え、指令に従って正確に宇宙船を操縦・維持せねばならなかった。
 それだけではない。NASAの科学者らにとって気掛かりだったのは、長時間無重力状態に留まることによる宇宙飛行士らの健康問題である。例えば、宇宙飛行士らは宇宙空間に数ヶ月も滞在すれば、カルシウム不足に陥り、いわゆる骨粗鬆症に陥るのだった。
 我々は宇宙へと飛び立つテクノロジーを入手しながらも、体が追いつかない現実があったと言える。そこでNASAは、宇宙飛行士らにカルシウムを効率的に補給させるべく、前例のない斬新な方法を見つけ出す研究に着手することとなった。
 というのも、カルシウムの豊富な食品や良質のサプリメントを摂取しても、宇宙空間では宇宙飛行士らの骨密度は低下していくだけだったからである。今日でも、骨の回復(カルシウム補給)は容易なことではない。例えば、単純にカルシウムが多く含まれる牛乳や乳製品を多く摂取したり、通常のカルシウムのサプリメントを摂取するのでは、多くの場合、あまり有効な対策とはならない。骨の形成に欠かせないリンやビタミンDの摂取も重要だが、カルシウムの摂取量が多い国ほど、骨折や骨粗鬆症が多く見られる傾向すらある。そのため、摂取方法によっては、逆効果になるケースもあるのだ。このようなアマノジャク的な傾向は、国内ではカルシウム・パラドックスと呼ばれている
 本来、ヒトの血液中のカルシウム濃度は一定に保たれる。カルシウムが不足すると、副甲状腺からホルモンが分泌され、骨や歯からカルシウムを溶かして補おうとする。そのため、カルシウム不足が続くと、骨折や骨粗鬆症を引き起こしやすくなる。その際、必要な分だけカルシウムが溶け出せば良いのだが、現実には必要以上のカルシウムが溶け出してしまうのだ。
 そして、余分なカルシウムは血液や細胞に入り込む。骨や歯といった貯蔵庫ではなく、細胞内に沈着すると、結石や白内障を引き起こすだけでなく、動脈硬化、脳卒中、高血圧など、様々な生活習慣病に繋がる。
 カルシウムが多く含まれる食品やサプリメントを摂取していて、どうしてカルシウム不足になるのだろうか? また、なぜカルシウムは効率的に摂取できないのであろうか?
 これは特に日本人に当てはまる。戦後、日本人の食生活は大きく変化し、砂糖や動物性食品の摂取が増えるようになった。それらはカルシウムを奪う「骨泥棒」と呼ばれ、血液を酸性にする。2002年の世界保健機関(WHO)の報告書では、動物性タンパク質が悪影響をもたらすことがカルシウム・パラドックスの背景にあることを示唆している。日頃から、総合的な視点で血液を酸性に偏らせない食生活を送ることがカルシウム摂取の前提条件と考えられている。
 不幸なことに、概して日本人は体質的に牛乳や乳製品の消化吸収能力が弱い。また、日本は山が多く降雨量が多いために土壌中のカルシウム(ミネラル)は簡単に洗い流されてしまう。河川(水)に含まれるカルシウム量は諸外国よりもはるかに少ないことに加え、近年の環境汚染により、土壌の酸性化も進み、収穫される野菜に含まれるカルシウム(ミネラル)量も自ずと低下している。魚から吸収できるカルシウム量も限られるため、海藻、梅干などミネラルの豊富な食品や、骨形成を補助するビタミンK2の含まれる納豆など、伝統的な日本食を見直すべき時代になったと言えるのかもしれない。
 しかし、他にカルシウムを効率的に摂取する方法は存在しないのだろうか? また、摂取方法にも盲点がありそうだ。
 ここで、NASAが行った研究に立ち返ることになる。
 1960年代、NASAは最も効率的にカルシウムを摂取できる方法を見出すべく、南カリフォルニア大学のベンジャミン・H・アーショフ博士に研究を依頼した。その研究においてはいくつもの実験が行われ、被験者は様々な方法でカルシウムの摂取を行い、骨がどのように影響を受けるかが調べられた。その結果、被験者の骨を最も強化し健康的に成長させたカルシウム源は、驚くべきことに、カリフォルニア州ブロウリー近郊で産出された、ミネラルや微量元素が豊富に含まれる粘土であったのだ。
 NASAは、粘土の摂取が劇的にカルシウム吸収効率を改善させるだけでなく、たくさんのミネラルが互いに補い合って、骨に関わる様々な病気にも効果を示すことに気付いたのだった。そして、粘土は全食事量の10%までは安全に含められるが、1~4%レベルで含めると、最も効率的にカルシウムを維持できるだけでなく、他のミネラル栄養素・微量元素も劇的に補給でき、解毒作用すら現れることが判明した。

 多くの日本人にとって、スキンケアといった美容目的で粘土(クレイ)が利用されるのを知っていたとしても、粘土を口の中に入れて食べるとは、信じがたいことかもしれない。だが、冷静に考えれば、地上の生物のほとんどが大地から生まれ、多くの元素で満たされた土は生命の根源と言える。事実、健康のために粘土を食する習慣・文化は世界中で古くから存在してきた。現代の日本人はその重要な事実を忘れてしまっているだけなのかもしれない。


○必要に迫られての異食症や土食症?
 医学の世界では、異食症(pica)や土食症(geophagy)と呼ばれる言葉がある。前者は、土・紙・粘土・毛・氷・木炭・チョークなど、本来ならば栄養価のないものを好んで食べる症状で、後者は土に限定されるが、いずれも多くは小児と大人の妊婦に見られる。時に精神障害が疑われたり、病気の一つと見なされる傾向があるが、多くの場合、土食症には理にかなった説明が与えられる。
 若い女性が妊娠時に土食症を示すことは、アフリカ、アメリカ、インドをはじめ、広く世界的に知られており、土壁をかじったり、地面の土を食べた事例は日本でも古くから報告されている。マレーシアの一部の妊婦らは、胎児の順調な成長と安産を求めて粘土を食べる。ニューギニアでも、胎児のために良いと考えて妊婦は粘土を食べる。また、タンザニアのペンバ島では、若い女性が土を食べ始めることは妊娠の徴候として喜ばれている。さらに、ロシアのある部族は、出産と後産を促進する有益な手段と考えて、粘土を舌の上に乗せるが、それはつわりを克服するためにも摂取されるという。
 そもそも土には豊富なミネラルが含まれている。そのため、土食症は、亜鉛や鉄が不足して、味覚異常を起こした際に発症しやすい行動であると科学的には説明されている。だが、必ずしも味覚異常の結果と断定することはできず、むしろ本能的に自らの体が要求するがために、粘土を食べる衝動に駆られると捉える方が自然かもしれない。
 現在、文明化された社会で生活を行うようになった我々にとって、土食を目にする機会はほとんどなくなった。せいぜい、子供が砂場という遊び場を提供された際に口にしてしまう程度に限られるように思われる。だが、時折都会の子供たちは洗濯用ふのりやベーキングソーダを摂取しようとすることが知られており、人類学者で土食症研究のパイオニアであるドナルド・ヴェメーア氏は、現代人の環境が変化して粘土が入手し難くなったことが背景にあると分析している。
 また、飢えを凌ぐための食材として粘土を選んできた人々も存在する。中国においては、飢饉の際、叩いて粉末にした材木をアワやキビの外皮と混ぜて焼いたものが石菓子(ストーン・ケーキ)として販売されていた。また、地面にある葉や粘土、花の種から小麦粉のような細粉を作り、食べ物が見つかるまで、日々の食事として食べられていた。

 ハイチの貧しい人々の間でも、ショートニング、塩、時に砂糖などを少量混ぜた泥粘土を、パンケーキやクッキー状にして天日で干した食べ物が売られており、「bon bon de terres」(土のボンボン)と呼ばれている。


○食材としての土
 土は、必ずしもミネラル不足や飢饉に直面した人々が必要に迫られて食べるような食材とは限らない。ベトナムのある地域では、土を網で焼いて客をもてなす習慣がある。インドのある人々は、新しく作られた粘土製のティーカップに茶を注いで、それを飲み干した後、そのティーカップを食べる。アメリカ南部でも黒人奴隷がアフリカから持ち込んだ土食文化が普及し、今でも調理済みの土がスーパーで売られているという。また、アメリカ先住民は特定の土をイワーキー(Ee-Wah-Kee=癒しの土)と呼んで、疲れ果てた心を癒すために食した。蒸したり炒ったトウモロコシに、粘土、種子、ハーブなどをまぶして食べることもある。さらに南米のある人々は、粘土に蜂蜜と砂糖を混ぜたものを、食後の甘いデザートとして食べる。
 それだけではない。日本でも、アイヌ民族は百合の根と土を煮て食べていたし、フランス料理には、山の土を煮込んでルッコラの根を添えたシンプルな料理もある。
 また、強壮剤として土が食材に含められる場合もある。インドやアフリカの一部の人々は、シロアリの巣に行って、時々蜂蜜を加えて、シロアリと一緒にその土を食べるのだ。

 文明社会で暮らす我々の感覚とは裏腹に、彼らにとって、そのような食べ物は比較的贅沢なものである。つまり、彼らは蜂蜜や砂糖を混ぜた粘土をデザートとして好んで食べるのだ。ニューギニアの北岸部の人々も、土を砂糖菓子のようなものとして食べる。その味は、かすかに甘いものから、チョコレートのように甘いものまで様々である。また、その近隣には、粘土を転がして円盤やチューブのような形にして、塩水をかけ、ココナッツ・オイルを塗った後、あぶって食べる人々も居る。
 このように、世界中の人々が粘土を食材に利用している。ただ、ここで誤解のないように断っておきたいが、もちろん、粘土は食事の一部を占めるに過ぎない。貧困と関連して、粘土の量を多く使うケースも見られる。だが、粘土には豊富なミネラルは含まれるとはいえ、他に必要な栄養素を欠いているため、ヒトは粘土だけを食べて生きていけるものではない。それでも、ヒトが粘土を食べ続けてきた背景には、無視できない神秘的な何かが存在するのである。


○人間は有史以前から粘土を食べてきた
 人類がこの地に誕生して以来、土を食べる習慣は今日まで延々と続けられてきたと考えられている。人間が土を食べてきた最古の証拠は、アフリカのジンバブエとタンザニアの国境にある「カランボの滝」の遺跡にあるという。そこでは、250万年前から200万年前まで存在していたとされるホモ・ハビリスの骨とともにカルシウムの豊富な白い粘土が発見されている。学者らは彼らがその粘土を食べていたと考えているのだ。
 人類史において最初に記録されたのは、古代メソポタミアと古代エジプトに遡る。紀元前2500年頃の古代メソポタミアの粘土板には、粘土が薬用として利用されたことが記録されており、古代エジプトの粘土板においても言及されている。起源は不明だが、オーストラリアの先住民(アボリジニ)のグイアガル族も、粘土を薬として食べてきた。
 また、興味深いことに、アメリカ先住民は、伝統的に毒性(タンニンやサポニンによる渋み)のあるドングリに粘土を混ぜてパンにして摂取する。イタリアのサルディニアでもドングリのパンを作るのに粘土が使われてきた。アメリカ南西部の先住民やペルーのインディオらも有毒なアルカロイド(窒素原子を含み、塩基性を示す天然由来の有機化合物の総称で、植物毒の代表的存在)を含むジャガイモを粘土と一緒に食べてきた。さらに、オーストラリアのアボリジニは、やはり有毒なアルカロイドを含むハエモドルム属(Haemodorum)の植物の根を粘土とともに食べていた。なぜなら、ドングリやジャガイモなどの渋みや毒を粘土が吸収して取り除くからである。粘土なくして、自分たちの健康に深刻な脅威となりうる主食で彼らは生き残ることができたのだ。
のちの医学界に1000年以上に及んで影響力を与えた古代ギリシアの医学者ガレノス(129年頃-200年頃)は、様々な病気に対しては内用で、怪我の治療に対しては外用で薬剤として粘土を利用していたことが記録されている。外用には、患部に湿布として貼ったり、身体やその一部を粘土に浸けることで、怪我、化膿した傷、炎症の治療に利用された。特に、エーゲ海北部に浮かぶギリシアのレムノス島で採れるレムニアン粘土は、赤色光沢土器の材料でもあったが、薬剤として古典古代(世界)全体に知られていたと記録している。

 また、古代ローマの博物学者ガイウス・プリニウス・セクンドゥス(22 /23年-79年)も、「目元を擦ると、それは痛みを和らげ、涙腺から涙が流れるのを防ぐ。出血する際には、酢とともに与えるべきだ。またそれは、脾臓、腎臓、過多月経に悩む人々に対してだけでなく、毒に対してや、蛇に噛まれた怪我に対しても利用される」と、レムニアン粘土が内用にも外用にも利用されてきたことを報告している。

 2000年程前にイエスが粘土の効用を理解していたことを示唆する記録もある。聖書外伝『エッセネ派の平和福音書(Essene Gospel of Peace)』では、足の骨がよじれ、こぶを作り、酷い痛みでほとんど歩けなくなっている人々が、イエスに治療法を求める逸話がある。そこでイエスは、太陽の光で軟らかくなった川岸の粘土質の泥に足を沈めれば、すべての不浄と病気から解放されるだろうと告げる。そして、それに従うと、人々の足にあったこぶは消え、曲がった骨はまっすぐに伸び、痛みが消えたことが記されている。このような皮膚への粘土パック(湿布)は現在でも注目されている有効的な施術法である。
 古代エジプトにおいて、クレオパトラは美容と日焼け対策のために粘土(クレイ)をパックとして用いていた。また、ファラオの医師は抗炎症剤として湿布に、またミイラを作るための防腐剤として、粘土を利用していた。アメリカ先住民が顔に粘土を塗る化粧を行ってきた背景にも、宗教的な理由だけでなく、暑く乾燥した土地における日焼け対策もあった。粘土は実に多くの目的で活用されてきた、人類史に不可欠な物質であったと言える。


○NASAが粘土食を試した切っ掛け
 ところで、冒頭でNASAが骨粗鬆症対策に粘土に注目したことに触れたが、その背景には一体何があったのか、触れておきたい。
 1940年代前半、ハリー・ヘバード氏と妻のマドレインは、カリフォルニア州インペリアル郡の土地を買い始めていた。その地域にはコロラド川が流れていたが、季節毎に雪解け水と雨水で川は氾濫して、川岸に粘土を大量に堆積させていた。毎年、新たな層を積み増しながら、数百万年を掛けて粘土層がコロラド川のデルタを生み出していた。ヘバード夫妻は購入した2500エーカーの土地に移り住み、牛、馬、ニワトリなどを飼って、農業で生計を立てた。ハリーは企業家であり、農作物や家畜をさらに効率的に育てられないかと常に模索していた。
 そんなある日、ハリーは奇妙なことに気付いた。ほぼ毎日のことだったが、夕刻になると、野生のペッカリー、ヤマネコ、ハト、フクロウ、ウズラ、シカなどの動物たちが自分の土地にやって来ては、そこに生える草を食べ、土をかじったのだ。また、怪我を負った動物たちは患部を土に擦りつけるように転がり、元気な(と思われる)動物たちも砂浴びをするのだった。
 いったいこの土地のどこが特別なのだろうか? 確かに、自分の土地には他の地域よりも良く草が茂っていたようだったが、それだけでは毎日遠方から動物たちが集まってくることを説明できないとハリーには感じられたのだ。そこで、彼は自分の土地に広がる土を専門家に調査してもらったところ、驚いたことに、極めて純度の高い、ある粘土が大量に含まれていることが判明したのだ。
 1946年、ハリー・ヘバード氏は会社を設立し、1300万年前に堆積したその粘土を採掘して、他の農家や牧畜業者らへの販売を始めた。というのも、その土地の粘土はミネラルのサプリメントと言え、それを食べた動物からは質の良いミルクや肉が取れ、農作物も多く収穫できたからである。
 1949年8月、その粘土の効果を調べるために、痩せた土地で実験が行われた。その土地では、オーストラリア原産のブッシュ・ピー(Bush Pea)又はプルテネア(Pultenaea)と呼ばれるマメ科植物の種子を撒いても40%しか発芽せず、発芽にも11日を要していた。ところが、1エーカー(約4000平方メートル)あたり2トンの粘土を施用すると、7日間で種子の80%が発芽し、平均的な農場レベルまで回復した。さらに、粘土を多く与えてみると、1エーカーあたり5トンの場合、発芽までの日数が最短の4日、発芽率は95%まで達した。この実験においては、1エーカーあたり10トンまで増やしてみたところ、発芽に要する日数も発芽率も、それ以上改善することはなかった。そのため、1エーカーあたり5トンの粘土を農地に施用すると、最も効率が良いことが分かった(表を参照)。


1エーカーあたりの粘土施用量 発芽に要する日数 発芽率
0     11日  40%
0.5トン  8日   55%
1トン   8日   60%
1.5トン  7日   75%
2トン   7日   80%
3トン   6日   87%
4トン   5日   92%
5トン   4日   95%
6トン   4日   95%
8トン   4日   95%
10トン   4日   95%


 その粘土は動物園でも活用された。例えば、カンガルーは動物園の檻の中に閉じ込められると、口の中に病変が現れ、犬のように舌を黒くする傾向がある。初期の段階で発見されれば、ビタミンB群の投与によってこれは対処可能とされる。だが、ボルチモア動物園では、1週間当り3~4ポンド(約1.4~1.8kg)の粘土をカンガルーに与えることで、そのような徴候が現れることすら回避させることに成功している。
 また、粘土は魚の成長と健康にも影響力を持つことが判明している。アイダホ州ヘイガーマンにある米魚類野生生物局(U.S. Fish and Wildlife Service)トュニソン研究所(Tunison Research Laboratory)のロバート・スミス氏によると、マス(トラウト)の養殖家にとって最大の出費はエサ代だと思われがちだが、現実はそうではないという。当初、それは彼にとっては受け入れ難いことで、実験を行うことすらためらっていたのだが、実際に検証してみると、与えるエサの量を減らし、安い粘土を与えることでマスは大きく成長するという事実を確認したのだった。彼は条件を変えながら繰り返し実験を行ったところ、エサの量を20%減らす一方で、粘土をエサの10%分含めた際、マスは最大14%体重を増やして元気に成長することが判明したのである。彼は家禽に対しても同様の実験を行ったところ、やはり、エサの量を減らし、粘土をエサの10%分与えることで、最良の結果を出したのだった。
 さらに、テキサスA&M大学では、同様にして鳥のエサに粘土を加える実験を行っている。コロラド川のデルタ(カリフォルニア州)で産出される粘土と、西部で産出される同種の粘土を与えてみたところ、何も加えなかった対象群と比較して、双方ともに鳥の体重は増加し、より多くの卵を産んだ。だが、食餌効率の面では、前者を食べさせる方が好結果を出した。その違いは糞に現れていた。エサに含める粘土量を増やすと、明らかに糞に含まれる水分が減少したのが認められたのである。テキサスA&Mの研究者は、なぜ粘土を与えると鳥が体重を増やすのか、さらに追求が必要であると報告したが、おそらくは、粘土により鳥の消化・吸収能力が改善していることが背景にあったと考えられている。

 実は、その粘土こそが、南カリフォルニア大学で働いていたベンジャミン・H・アーショフ博士の関心を呼び、動物たちへの優れた栄養補給剤となるだけでなく、先述したように、骨粗鬆症に悩まされたNASAの宇宙飛行士たちに対してすら大きく貢献することとなったのである。
 このように、同種の粘土の中でも効果に違いが現れ、NASAは動植物の健康に特に優れた粘土に注目した訳だが、似たような効果を与える粘土は世界各地で産出され、動植物に対するサプリメントとしてだけでなく、人間が食用に用いる粘土として世界的に普及している。


○どんな粘土が良いのか?
 筆者が粘土や土という際、自宅の庭、未舗装の道、空き地、農地、公園、山などで、すぐに視界に入ってくるような土を指すのではない。落ち葉や昆虫の死骸、それらを腐敗させる微生物や有害な細菌・寄生虫といった有機物が含まれるような表土でもなければ、化学肥料、殺虫剤、除草剤のような農薬、重金属、その他汚染物質で冒された土でもない。
 興味深いことに、アマゾンの熱帯雨林で暮らすオウムやコンゴウインコが食べる粘土は、表土ではなく、浸食された川岸や土壌が露となった崖から得られるもので、粒径0.2ミリメートル以下の特別なものである。 また、同地区で暮らすマスタッシュド・タマリンも、ハキリアリが下層から持ち上げて形成したアリ塚の細かな土を選んで食べる。 香港の混血のマカクザルも一番細かい粘土を探し、粒の大きな粘土を嫌う。
 アフリカなどの熱帯地域ではゾウなどの動物が岩を食べる塩舐め場が存在するが、植物が剥ぎ取られ、土壌が露となっている。 概して、塩舐め場には、粒径の小さな粘土が多く含まれる火山性の土壌が好まれる。 NASAが選んだ粘土も、動物たちに好まれた塩舐め場から産出されたもので、成分的にも類似が見られる。 表土を食べるケースも存在するが、多くの場合、動物たちは粒子の細かい特別な下層土を選んでいるのだ。

 NASAが宇宙飛行士に与えた粘土は、実のところ、粘土の中でも極めて小さい粒子で構成された、モンモリロナイトを主成分としたカルシウム・モンモリロナイトである。モンモリロナイト(モンモリロン石)は、スメクタイトに分類される珪酸塩粘土鉱物で、海底に堆積した火山灰が長年の地殻変動と風化作用を経て形成されるものだ。モンモリロナイトという名称は、1847年にフランスのヴィエンヌ県モンモリロン(Montmorillon)で発見されたことに由来する。約半世紀後に米ワイオミング州にある白亜紀岩層のフォート・ベントン統でも、モンモリロナイトを多く含有した粘土が発見され、ベントナイトと名付けられた。ただ、ベントナイトはもともと商標とされ、サプリメントとして流通する粘土に対して与えられた俗称にもなったため、モンモリロナイトを主成分としている場合もあれば、それほど含有されていないものもあり、食べるには注意を要する。天然の粘土において、モンモリロナイトが純度100%で存在することはほとんどないため、他の何らかの成分が混ざって存在するのが普通で、その不純物次第で、粘土の品質は決まってくる。カルシウム・モンモリロナイトは、モンモリロナイトにカルシウム分が多く含まれ、動植物の摂取に最適な構成となった粘土である。
 粘土は、粒径2μm(マイクロメートル)以下の細かい粒子を指すが、モンモリロナイトは粘土の中でも極めて細かい粒子からなり、粒径は主にコロイド・サイズ(1μm以下)からなる。先述のカリフォルニア産モンモリロナイトは、粒径10nm(ナノメートル=0.001μm)という極小サイズまで含まれることが分かっている。
 粒子が細かいことの最大のメリットは、生体がすぐに体内に取り込めるイオン状態になり得、栄養素の吸収に大きな効果を発揮できる
ことだ。また、単位体積あるいは単位重量あたりの表面積が非常に大きくなることがある。例えば、1辺が1cmの立方体の表面積は6立方センチメートルだが、粘土1gの表面積はなんと60平方メートルにも及ぶ。そのため、粘土粒子が濡れると、水分を周囲の不純物とともに大量に「吸収」し、大きく膨張していく。モンモリロナイト(スメクタイト)の吸収性は、イライトやカオリン、ゼオライトのような他の粘土よりも遥かに高いことが分かっている。
 ここで、粘土が吸収性を発揮する前に、粘土の粒子表面に不純物を選択的に「吸着」させる重要なプロセスが必要なことを忘れてはならない。吸収性が高いだけでは、何でも吸収してしまう可能性があるからだ。幸い、モンモリロナイト粒子は強くマイナス電荷を帯びた珪酸塩(薄く平たい結晶)コロイドを形成している反面、人体にとって有害な毒素は概してプラスに帯電しているため、その事実が安定的な吸着効果を促している。
 それによって、粘土を食べた際、粘土粒子は重金属、毒素、有害化学物質などを効果的に吸着し、それらを粒子の内部に取り込んだ状態で、最終的に排泄されると考えられている。ネズミは中毒を起こすと自発的に粘土を食べる。チンパンジーも毒性を有する植物を食べた際に粘土を食べる。中央アフリカ共和国のマルミミゾウも毒性の少ない果実を食べる9月にのみ常習的な粘土摂取が減る。動物たちは、植物毒(二次代謝産物)の中和目的だけでなく、下痢・便秘対策、寄生虫駆除を目的としても粘土を食べることが知られている。人間もドングリやジャガイモを食べる際に粘土を混ぜてきたように、粘土には注目すべき解毒作用が備わっていることが分かる。

動物は食事で摂取する栄養素を原動力にして生命を維持している。だが、動物にとって、周囲のあらゆるものが摂取対象の栄養源になる訳ではない。有害な成分を含むものや、その動物の消化器官には消化できないものも多く存在する。そんなものを食べてしまった際、不運な場合は死に至るが、動物は自ずと嘔吐したり、下痢をするなどして、消化器官が有害な成分を危険量吸収してしまう前に、それらを即座に体外へ排泄しようとする。消化器官は人間を含めた動物にとって最も基本的かつ重要な役割を果たしている。健康を得たければ、消化能力を健全に高めると同時に、労わる必要があり、整腸作用は滋養強壮に直結する。
 モンモリロナイトを代表とする粘土は、ミネラルや微量元素を供給するだけでなく、生物の生き残りに不可欠な解毒能力を高めて、整腸作用をもたらす。そのため、昔から下痢、便秘、食中毒対策などの万能薬として、世界中の様々な人々が摂取してきたと言える。


○現代病に効果を発揮する粘土食
 古代から人々は粘土を食してきたが、現在の我々が患いがちな病気の種類は古代の人々のそれとは異なってきている。粘土食は、いわゆる現代病にも効果が見られるのだろうか?
 実は、現代においては、粘土食は、過敏性腸症候群の治療において効果を現わし、腸におけるコレステロールの吸収も抑制し、ラットやマウスを使った実験においては甲状腺機能高進症を改善させているという報告もある。また、モンモリロナイトは酸化アルミニウムを含んでいるものの、それはまったく無害であるばかりか、アルツハイマー病を引き起こすと疑われているアルミニウムを追い出し、無毒のアルミニウム化合物へと変化させると考えられている。さらに、ブルーリー・アルサーやカンジダ症などの感染症にも効果があると報告されているのだ。
 モンモリロナイトには、カルシウム、カリウム、マグネシウム、ナトリウム、リン、塩素といった主要ミネラルだけでなく、鉄、亜鉛、硫黄、銅、クロム、モリブデン、ヨウ素、マンガン、コバルト、セレンといった微量ミネラルが豊富で、例えば、NASAが宇宙飛行士のために試験したモンモリロナイトには、57種類ものミネラルが含まれていたことが分かっている
 アメリカ国内ではモンモリロナイトは数ヶ所で発見されており、アメリカの生物学研究所(Biological Research Laboratories)は、それらのモンモリロナイトを比較実験している。その結果、少なくとも、コロラド川のデルタ(カリフォルニア州)で産出されるモンモリロナイトには、まったく有害物質は含まれず、摂取を続けると消化酵素が増えて消化管のpHバランスが適切に保たれることを報告している。そのため、モンモリロナイトの摂取により、酵素不全による不耐症が軽減され得ると言われている。
 それに関連して、食物アレルギーも緩和される傾向がある。これには、含まれる豊富な微量元素が寄与していると考えられている一方で、粘土は肥満細胞中に高濃度で含まれるヒスタミンを吸着・吸収する能力を備えているため、過敏なアレルギー反応を緩和するのに一役買っていると言えるだろう。
 さらに、モンモリロナイトはアミノ酸やペプチド鎖の形成に対して触媒として機能すると考えられている。『サイエンティフィック・アメリカン』誌の1979年4月号によると、あるアミノ酸を多様な粘土鉱物の溶液に浸けて、様々な温度と湿度に曝してみた実験においては、粘土が存在しない場合と比較して、粘土がある場合の方が、多くペプチドが生み出されることが見出された。それは、粘土粒子の表面に顕著に現れたものだったが、「タンパク質の変性」に対して有効と言える。つまり、日々の粘土摂取により、タンパク質の変性を防ぎ、タンパク質の生成を最大限に生かし得ると考えられている。
 モンモリロナイトは体の代謝機能を効率化させること――栄養の吸収と毒素の排泄――を促し、ダイエット効果や美容効果にも繋がる。そのため、モンモリロナイト(正確にはカルシウム・モンモリロナイト)は、現代人にこそうってつけの食材と言える。もちろん、現代社会においては健康目的で粘土食を試す人々がまだまだ多くはないため、今後、これまで以上に多くの病気に対して効能が見出されていく可能性も見込まれている。さらに、食用のモンモリロナイト粘土は、乾燥した土地の、もはや有機物が認められない岩層から産出されるため、ほとんど地上からの汚染を受けていないことも注目に値する。


○古代の知恵を蘇らせる
 概して、人間を含めた生物の健康とって優れた品質の粘土は、乾燥した土地に眠る古代の火山性土壌に見出される。その科学的な説明を与えることはできなかったが、かつてアメリカ先住民のヒーラーは、「主に乾燥した暑い気候の土地で、熱水活動の見られる場所に貴重な粘土を見出すことができる」と語っていた。粘土食が広く受け入れられている今日の欧米では、既に触れたような吸着・吸収性に基づいた解毒作用だけでなく、そのヒーラーの言葉も科学的に説明されるようになっている。

 湿った粘土は、熱せられると水分子を失って負電荷を残すだけでなく、含まれるミネラルや微量元素が濃縮される。熱い太陽光に曝された粘土はカチカチに固まり、粉砕すればきめ細かな粒子となり、それは、言わばミネラルや微量元素が効率的に濃縮されたエキスとなる。だが、ミネラルや微量元素を豊富に抱えた状態を維持するには、そのような粘土は乾燥した土地に存在せねばならない。湿度の高い土地に存在すると、すぐに水素とカルシウムの「イオン交換」現象が起こって酸性に傾くのに対して、乾燥した環境においては、カルシウムイオンは水素イオンと置き換えられることはなく、アルカリ性の状態で温存されるからだ(日本でもモンモリロナイトは産出されるが、酸性白土である)。

 天然のモンモリロナイトには、代表的なミネラルだけでなく、かつては不純物と見なされた微量元素も多く含まれている。微量元素自体が具体的にどのようにヒトや動植物の健康に寄与するのか、まだ十分に解明されていないが、植物であれ、動物であれ、人間であれ、生きている細胞内にあって活性化物質、すなわち触媒の役割を果たしていることがようやく評価されつつあり、粘土食によって生じる体質改善に微量元素が深く関わっていると考える研究者たちも多い。
 モンモリロナイトは、それ自体がミネラルと微量元素を供給するだけでなく、生体内の毒素排泄を促す。野生動物たちは、常に植物毒を過剰に摂取する危険にさらされており、そのような毒害を中和させるためにも粘土は重要な役割を果たしてきた。一方、我々は化学肥料、殺虫剤、除草剤、抗生物質などの化学物質にさらされた動植物(食品)を摂取したり、重金属や有害化学物質などに触れる生活を続けている。加齢とともに体内にそれらが蓄積されていくことが危惧され、もっとも重要な対策の一つが、毒素排泄にあると言えるかもしれない。
 粘土食は胃酸のバランスを整え、腸の内側を覆って保護し、食物と一緒に体内に入った毒物を活性炭のように吸着・吸収し、排泄を促すだけでなく、必須ミネラル・微量元素を提供する。モンモリロナイトのような粘土は、毒素やバクテリアを吸着し、腸内に保護膜を作る。そして、1回の摂取でおよそ12時間はその保護膜が維持されることが分かっている。継続的に摂取すると、腸壁を厚くし、潰瘍や腸内出血を引き起こす寄生虫の治療や予防には特に有効とされる。



○欧米で注目される大地の浄化力
 しかし、なぜ粘土はそれほどまでに動植物を癒し健康に導くのだろうか?
 地上の生物は大地から生まれ大地に戻る。母なる大地はあらゆる生物の肉体を作り出す元素を与える。また、大地はあらゆる有害物質のフィルターであり、地上最強の浄化力を備えて万物を自らの母体に戻す。おそらく、読者はここでお気付きになられただろう。これこそが、粘土を特別な存在にしている背景なのである。
 NASAが注目したように、モンモリロナイトが効率良くカルシウムのようなミネラルを供給し得ることは、それだけでも興味深いことである。しかし、多くの粘土食家は、それはあくまでもオマケ程度の恩恵だと考えている。なぜなら、既に触れたように、それ以外の効果の方がヒトの健康にとってもっと重要だと彼らは見なしているからである。
 実は、近年(特に1990年代から)、欧米では粘土食が脚光を浴び、テレビや雑誌などで頻繁に紹介されるようになってきている。いまや世界中の多くの健康食品店では、健康のために経口摂取する粘土が当たり前のように販売されている。アメリカのサプリメント市場では、いくつものメーカーからの様々な粘土商品が存在しており、どのような粘土を選ぶべきか、入門書も出版されている。そして、モンモリロナイトの摂取により、消化器官、特に便秘に影響する結腸の機能が高まり、毒素排泄作用により皮膚の状態も改善させることが認識されている。
 日本では、カルシウムを代表に、ミネラルの摂取量が足りないと指摘されてきて、事実、骨粗鬆症に悩まされる人々が非常に多い。ダイエットや美容を気にする日本人女性も多いにもかかわらず、なぜか日本は欧米の粘土食ブームに取り残されている。特に奇妙なことは、デトックス(解毒)という言葉は普及しているにもかかわらず、その中で最も有名な粘土食がほとんど浸透していないことである。健康や美容には体内の老廃物や毒素の排泄が欠かせず、それを促す必要がある。ところが、体内から体外へと表出してくる毒素を化学薬品で抑え込み、隠そうとする対処法の方が今でもポピュラーである。
 筆者は今日まで3年ほど粘土食を続けているが、半年から1年ほどで皮膚に現れていた吹き出物が消え、長年悩まされてきた下痢や胃もたれといった胃弱体質が改善された。食用粘土は、他のサプリメントと比較すると、非常に安価であり(法外に高額な国産品もあるが)、錠剤タイプも普及している現在、決して敷居の高いものではない。世界的に古代から続けられてきた粘土食や、近年の粘土食ブームに対して、なぜ日本人は無視し続け、王道と外れたデトックス法や様々なダイエット法に手を出しては、挫折している人々が多いのか? そんな現状を見ると、ますます疑問が募ってくる。日本において、なぜこれまで粘土食が浸透してこなかったのか? これはまさに謎である。


【粘土購入に関するアドバイス】モンモリロナイトを代表とした粘土は、動物・ペット用、植物用、水質調整用など様々な目的で国内外で採掘されている。ヒトによる経口摂取を前提としない粘土には、薬品を投与して採掘が行われたり、成分が分析されていない場合もあるため、そのような商品を口にすることは危険である。粘土食を試してみたい読者は、必ず経口摂取を前提とした粘土商品をお求め頂きたい


 
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