「世界同時株高」という罠 それに続くのは驚愕の「世界同時株安」と強烈な「円高」だ

 
原田武夫氏の経済予測です。
まとめるとこんな感じでしょうか。

・英国王室が作り上げたタックスヘイブンが廃止されることにより、今後大規模に、金融資産が移動する。
・その対象は、中国、ロシア、北朝鮮などの共産国。
・だが、これらの共産国への投資環境が整備されるには、まだ時間がかかる。
・その間のつなぎとして、日本が選ばれる。
・したがって一旦は、急激な円高、株安という局面が訪れるが。
・そののちに、円高のまま、株高という局面が訪れる。


http://bylines.news.yahoo.co.jp/haradatakeo/20140609-00036172/
「世界同時株高」という罠 それに続くのは驚愕の「世界同時株安」と強烈な「円高」だ
原田武夫 | 株式会社原田武夫国際戦略情報研究所(IISIA)代表取締役
2014年6月9日 8時0分


欧州が動く時、「世界」も動く

2007年夏から始まった「金融メルトダウン」には一つの大きな法則がある。それは局面が変わる際には必ずまず欧州が動くということだ。逆に言うとひとたび「欧州が動いた」ということになれば、それは次なる局面へとコマが進むことを意味する。

その意味で去る5日(フランクフルト時間)に欧州中央銀行(ECB)が遂に発表した「マイナス金利の導入」は重大な意義を持っている。なぜならばこれによって一つには欧州自身が自らのデフレ局面への転落を暴露したからであり、他方においては「預金しただけで金利を取られてしまう」ことを忌避する多くの主体がこれからは一斉にマーケットにマネーを投げ込むことを意味しているからである。

一見すると現段階においては「さざ波」のような出来事であると想えなくもない。だが欧州がマネーを預金ではなくマーケットへと全力で投げ込み始めた以上、米国やそれ以外の勢力もこれに追随せざるを得なくなるのは目に見えているのである。それぞれの勢力によって発表される施策はそれなりに理論的な説明が付されるのが常である。だが金融資本主義の世界ではえてして「木を見て森を見ない」ようでは一体何が起きているのか分からないのであって、常に「森を見て木を見ない」態度が必要なのである。

そもそも未だに解決の糸口が見えてこない「金融メルトダウン」は想えば2007年8月9日(パリ時間)に発生した、いわゆる「パリバ・ショック」から始まったのである。これは今ではすっかり語る者がいなくなってしまったが、仏BNPパリバ系のヘッジファンド3つが時価算定や解約等を一時凍結したという「事件」であり、ニューヨーク・マーケットで株価が暴落。翌10日から欧州中央銀行を筆頭として米連邦準備制度理事会(FRB)や日本銀行、そしてイングランド銀行等が協調して緊急に流動性をマーケットに供給するという事態に陥った。そしてそのことを契機としてそれまでの楽観的なムードが国際社会全体でじわじわと一転し始め、ついには翌2008年秋の「リーマン・ショック」にまで至ったというわけなのだ。

注目すべきはエリザベス英女王による演説だ

非常に気になるのは端的にいうと預金口座からマネーを追い立てて、欧州勢は一体どこにそれを導こうとしているかなのである。今回の動きは欧州中央銀行が単独で行っているかのように見えるが、その実全く違う。そもそも現在の金融資本主義システムの根幹にあってこれを左右する力を持っているのはロンドン・シティなわけであるが、これを抱える英国において4日(ロンドン時間)、エリザベス女王が議会において非常に注目すべき演説を行った。具体的には、「租税回避(tax avoidance)の疑いを持たれた者は有罪が確定するまでの間、とりあえず罰金を支払わなければならない」というルールをこれからは適用すると発表したのだ。正に「疑わしきは罰さず」ではなく「疑わしきはまず罰する」なのである。

このことの意味を理解するためには、そもそも「租税回避地(tax haven)」なるシステムを創り上げたのが他ならぬ英国王室であり、そのいわば庭というべき「王室属領(crown dependencies)」こそ他ならぬ租税回避地の現場であったということを知らなければならない。まずは旧ソ連が利用し、次にアラブの産油国が大口顧客となったこのシステムはその後瞬く間に世界中の富裕層に広がり、そのマネーを吸い上げてきた。ところがその胴元というべき英国王室の主・エリザベス女王が「もうやめましょう」と言っているというわけなのだ。当然これが資本の逃避(キャピタル・フライト)を従来の租税回避地から促すことになるのは言うまでもない。

そこで大変気になるのはこうしたマネーが今、一体どこに流れ込んでいるのかである。いわゆる伝統的な「租税回避地」は金融メルトダウン発生後、更に強められてきたタックス・ヘイヴン規制によって全くもって旨みのないものになってしまっている。「法人実効税率」と「守秘義務」のいずれをとっても全く有利ではなくなっているのである。とりわけ世界の富裕層たちにとって死活問題なのが後者である。さもないと昨年(2013年)になって突然始まった「オフショア・リークス」のような、世界中で彼らの投資先を嗅ぎまわるジャーナリストたちの暴露合戦の餌食になってしまいかねないのだ。新しい租税回避地は体制上、そもそも守秘義務が厳格に守られることが確保されていなければならない。

ロシアと中国があくまでも強気な理由とは

そこでハイライトされてくるのが非常に逆説的だが、「共産主義」あるいは「管理された資本主義」を体制としている国々なのである。端的に言うとそれはロシアと中国である。これにヴェトナムやキューバ、さらには北朝鮮といった諸国が続く。これらの諸国は政治体制上、究極において情報公開が貫徹されることはあり得ないのである。だからこそ世界中の富裕層にとっては全くもって都合が良いのであって、これらの体制に対して「木戸銭」を払いつつ、そこにマネーを流し込み、集積させ、そのヴェールをかぶった形で今度は世界中に投資を行っていくということになるわけなのだ。

今月(6月)に入り、ロシアと中国が新たに共同で格付け会社を設置する方向で動いているとの衝撃的な報道が世界を飛び交った。これもまた一見すると冗談のように聞こえるかもしれないが、今述べたことを踏まえるならば全くもって「笑えない展開」であることに気づくのだ。なぜならば欧州が先鞭をつける形で今やグローバル・マネーの大移動がこれらの国々に向けて始まっているからだ。ロシアについては「ウクライナ紛争」、中国については「陰の銀行を巡る騒動」で決して表向きはそうは見えない。だがそうした目先の課題を越えて「体制」としての便利さを考えるならばグローバル・マネーにとっての選択肢は一つであり、そのように仕向け始めたのが他ならぬ欧州であることに着目しなければならないのである。
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いずれにせよこのように大移動を始めたマネーはまずもって「全世界的な株高」をもたらし始めている。その延長線上に我が国の金融マーケットがあり、いわゆる「アベノミクス」があることを忘れてはならない。そして最終的にはマネーが怒涛の如く入り込んでいくことになるロシアや中国といった政治体制の下でのマーケットがまだ「未完成」であることから、欧州勢は明らかに大量のマネーをさしあたり使い勝手の良い我が国の株式マーケットに大量投入し続けているのだ。それが昨年(2013年)11月12日から始まった展開であり、直近では先月(5月)から明らかに動機づいた日本株マーケットの背後にある事情なのである。

いよいよ「官製相場」を本格始動し始めた我が国とそれでも動けない「個人」

なぜ今、あらためて日本株なのかといえば日本政府そのものがこれ見よがしに「日本株は上がる」と示唆し始めているからである。特にここに来て決定的であったのは、安倍晋三総理大臣が自らこの問題について身を乗り出し、元来は今年の年末までに改定されるはずであった年金積立金管理運用独立行政法人による運用方針の見直しを秋まで前倒しするよう指示したことであった。一つの試算では追加的に3兆円は日本株に投じることになると考えられているこの見直しが前倒しされるとアナウンスされたことの意味は大きい。現状では日本株をオーバーウェイトとしているグローバル・エクィティ・ファンドは全世界でその総数の3パーセント程度しかいない中、我が国の公的マネーが投じられる前にまずは日本株を買っておこうと「ガイジン」たちが動くことは目に見えているのである。

このことは様々な指標・統計をチェックすれば自ずから明らかなのであるが、我が国の「個人」はどうしても動くことが出来ないのである。なぜならば、思い返すとこれまで少なくとも4回にわたって我が国の「個人」はマーケットで多大な損失を蒙ってきたからだ。すなわち「リーマン・ショック(2008年)」「急激な円高展開(2008~2012年)」「東日本大震災(2011年)」そして「2兆円規模の日銀買いオペ(2013年5月22日)以後の株価低迷」の4つである。「年金問題」が騒がれ続けている以上、何とかしなければならず、投資に目を向けたいのは山々だがもうこれ以上、騙されたくはないというのが本音なのである。だからこそ「個人」は今のところ全く動くことが出来ないままなのだ。

だが、こうした局面も夏を迎える頃には大きく変わることになる。なぜならば米系を中心としたヘッジファンドらによるこれ見よがしの日本株引き上げのための投資が始まるからだ。実際、先週は有名なヘッジファンドのマネジャーたちが続々と我が国に飛来していたとの非公開情報がある。最後のデューデリジェンスのためであるのは明らかであり、彼らの動きによって見違えた動きになる日本株マーケットの魅力に耐えられなくなった「個人」は夏の声を聞く頃に怒涛の如くマーケットへと殺到することになる。そしてまたそれが昨年の4月23日頃からの展開のように急激な株高局面を招くことになるというわけなのである。

そして「世界同時株安」と「円高」が突然、発生する

だが、こうした展開がそのまま長く続くなどとゆめゆめ考えてはならない。我が国の「個人」のレヴェルでは「日本株高=円安」という単純な公式を信じている向きが未だに大勢いる。だが、日本株高が本格化する局面においては実のところ「平成バブル」以降、常に「円高」が発生していたのである。そして「ガイジン」たちが本気で日本株シフトする時には米国債の買い入れといったヘッジ(=これによってドル高・円安となる)などかけずに素直に円需要が増えるため、むしろ「円高」になるのは当然でもあるのだ。

そしてこうした流れを他ならぬ日銀が誘導しようとしている気配がある。なぜならばここに来て日銀幹部がやおら「異次元緩和の縮小可能性」について言及し始めたからである。物価の上昇を前提としたものだが、異次元緩和が早くも縮小ということになれば当然、円高へと転換し始める。だがこれがむしろ「ガイジン」たちによる日本株買いを旺盛にするというのであれば、我が国の政府・日銀はむしろそう遠くないある段階から想定外の「円高誘導」とでもいうべき動きに出る可能性は排除できないのだ。

だがさらにこうした動きを越えて、「ガイジン」たちが本気でとりあえずは日本株だと考えるのであればもっと派手な動きに出る可能性は十分ある。中国やロシアといった諸国を金融資本主義によって「飼い慣らす」には未だ当面時間がかかる以上、まずは金融マーケットへマネーを吐き出すだけ吐き出させておいて、それによって「世界同時株高」を一時的にはもたらしつつ、ややあってからは我が国にとっての「外生的なリスク」を炸裂させることで今度は一気に「世界同時株安」をもたらすのである。こうなると日本株も当然、大暴落となるが、その一方で「安全な通貨」として日本円が買われることにもなる。急激な円高になるわけだが、しかしこれはむしろややあってから「ヘッジをかけない形での日本株高」へと転換するにはもっとも好都合な構図でもあるのだ。これによって「円安=日本株高」というアベノミクスの構造から「円高=日本株高」という全く新しい局面へと移行することになる。いわば「日本バブル」の第2弾とでもいうべき展開である。

「アベノミクス」と心中しないために”今”なすべきこととは

私の最新刊(『世界史を動かす日本』(徳間書店))においても詳しく書いたのであるが、このまま行くとまたしても我が国の「個人」は途方もないくらいの損失を蒙ってしまう危険性が高い。なぜならば動きたいのであれば「今すぐに」動いておくべきであり、同時に「遅くとも8月に入る頃には出口に向かう」べきだからだ。ところがこのままいくと多くの「個人」は「7月に入ってからようやく動き、ダラダラと居残る結果、秋の複合リスクの同時多発的な炸裂に巻き込まれる」ことになりかねないからだ。しかもその後、「円高=日本株高」という平成バブルの際とも相似な分かりやすい展開が見られるにもかかわらずである。

もっともそうなった場合、「アベノミクス」はものの見事に表向きは粉砕されるわけであり(=株価暴落)、その責任論が巻き起こることで当の安倍晋三総理大臣自身も巻き込まれることになる。そして野田佳彦・前総理大臣がそうであったように、安倍晋三総理大臣も局面の転換に呼応するかのように突然、表舞台から消えるのであり、「次のバッター」が立てられることになるのだ。

いずれにせよこれから始まる夏に我が国に覆いかぶさるのは日本株高を含む「世界同時株高」である。だが、その後には多くの「個人」にとっては仰天な「円高」「世界同時株安」の展開が待っている。そしてこのことを悟り、既に動いている者だけが、その先の「日本バブル」第2弾という甘い果実を享受することになるのだ。



 
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