地震起爆の考察 -山本説について-
地震のメカニズムに関して、昨日のコメント返信に回答をしました。
エネルギーの蓄積に関しては比較的理解しやすいかと思いますが、起爆については分かりにくいかと思います。
山本寛氏は著書「地震学のウソ」で、浜岡原発・破断事故の例から、以下のような仮説を立てておられます。
可燃ガスの爆発に関しては、圧力や温度が高いほど爆発しやすいイメージをもつが、実はもっと複雑である。
この状態から、圧力が下がるときに爆発(自己着火)するのである。
点火プラグをもたないディーゼルエンジンが、規則的に爆発するのは、この原理に基づいている。
横軸に温度、縦軸に圧力をプロットしたとき、アルファベットのZを右に45度回転させたような曲線が得られる。
これを「爆発半島曲線」と呼ぶそうだ。
この線より右の領域にあると、自己着火をし爆発する。
参照:中部電力(株)浜岡原子力発電所1号機事故に係る一連の報道発表について
5月13日「配管破断事故について(最終報告書)」、p100
分かりやすくするために、私なりの説明を加えます。
満員電車に例えると分かりやすいと思う。
電車内で人同士がぶつかって怪我をするのは、どういった場合だろうか?
ここで、人の動きが温度(=横軸)、乗車率が圧力(=縦軸)、怪我(=爆発)である。
車内が空いていると、人は大きく動くことはできるが、人同士がぶつかることはまれである。
だから怪我をしない。
逆に満員状態だと、人同士は触れ合っているが、人は大きく動くことができない。
だから怪我をしない。
だが、満員状態で駅に着き、電車の扉が急に開いたら(圧力が下がったら)どうなるであろうか?
人は大きく動き始め、人間同士がぶつかるケースが多発する。
ここで誰かがいったん転ぶと、将棋倒しになって大勢が怪我をする(反応が連鎖する)のである。
化学的な燃焼反応であろうと、物理学的な核融合反応であろうと、この基本的な圧力と温度に爆発に関する原理は同じであろうというのが、山本寛氏の考えである。
圧力変動、特に高温・高圧状態からの急激な圧力下降が、起爆を引き起こすのは、こういう理由のためです。
そういう意味ではFluxgateでみたとき、ピークの出現したときよりも、ピークが元のゼロラインに戻るときが重要かもしれません。
まあ、地下のどこか圧力が溜まっているところで、亀裂が発生してガス圧が漏れることも考えられるので、必ずしもそうだとはいえませんが。
また、自然発生の大地震の発生前においても、何らかの余震があるのは、こういったためだと思われます。
余震により、溜まっていたガスの圧力が抜けるのです。
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